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南吉の「ごんぎつね」

南吉の「ごんぎつね」_c0192051_20473295.jpg今宵は中秋の名月です。夜の天気も良く「月の中で兎が餅を突く」姿が見えます。何でも割り切る現代科学を少し脇に置いてそんな夢のある話がふさわしいほどの今夜の満月です。
日本人ほど月に思いを致す国民はいないと思います。月が大好きで月の見方が違います。

南吉の「ごんぎつね」_c0192051_20504468.jpg人は月を見てそれぞれの思いに駆られます。
≪月見れば月見る月は多けれど月蜜月はこの月の月≫(詠み人知らず)。
子供の頃に「すすきと芋と団子」を供えた縁側に並んで座って煌々と照らす月明かりの中で親父が話してくれた宇宙の話を思い出します。話に引き込まれて思わず月を見上げました。「ほら、兎が…」、今夜は取り止めもなく…、です。

南吉の「ごんぎつね」_c0192051_20581256.jpg悪戯子狐の「ごん」の物語は小学校の教科書にも載っていて誰もが知っている話です。
「ごんぎつね」は童話作家・新見南吉の18歳の時の作品です。
愛知県の半田氏には「新見南吉記念館」があります。
何度か行ったことがありますが里山を模した公園のな中のユニークな建物が目を引きます。

南吉の「ごんぎつね」_c0192051_2161696.jpg南吉は29歳の若さで世を去りましたがその短い生涯で300作以上の作品を世に出しました。
近くを流れる矢勝川では「ごんぎつね」の中にも描かれている真っ赤な彼岸花が今を盛りと広い堤防を埋めています。秋は真っ盛りです。
子狐「ごん」の哀しい物語は読む人の胸を打ちます。
彼は何故こんな哀しい結末にしたのでしょう。

南吉の「ごんぎつね」_c0192051_2120668.jpg≪兎の焼き印のある「酒饅頭」です≫
彼が育った環境にもあると思いますがこれを書いた時代が戦争の暗い時代であったことも関係があるのかもしれません。

南吉の「ごんぎつね」_c0192051_21205575.jpg互いの誤解が溶けあった時に主人公の「ごんと兵十」の間には友情に似た感情が芽生えたのが分かります。
読み終わって虚しさが残るだけではなく哀しみの涙と共に何か暖かいものが胸に残ります。
読書は読む人によって受け止め方が違いますが今も世に残る物語はいつの世でも心に何かを残します。
by mori-toru | 2017-10-04 21:32
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